女1人のスペイン巡礼記*初めての海外1人旅をプレイバック
はじめての1人海外は2011年のスペイン巡礼でした。今回の記事ではスペイン巡礼の全行程をふり返ります。( 行くことにした理由や旅路のハプニングなどは別記事でゆっくり書いていきます。)
1.スペイン巡礼って?
スペイン巡礼は、スペインの北西部にある『サンティアゴ・デ・コンポステーラ』(以下、サンチャゴ)を最終地としたキリスト教の巡礼のこと。
サンチャゴはキリスト教の十二使徒のひとり・聖ヤコブの遺骸があり、バチカンやエルサレムと並ぶキリスト教3大巡礼地です。
スペインにあるものの、旅人の国籍は多種多様。私が出会ったのはスペイン、フランス、ポルトガル、イタリア、オーストリア、デンマーク、オランダ、ドイツ、ハンガリー、イギリス、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ブラジル、韓国、日本。年齢も幅広く、下は10歳の男の子、上は88歳のおじいさんに出会いました。
夏休みを使って家族・友人とピクニック気分で来ている人も多かったです。欧州では一種のアクティビティとして捉えられているようです。
2.800キロの行程
サンチャゴに向かう巡礼路はいくつかルートがあります。今回はフランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーからスペイン北部を東西に貫く巡礼路『カミノ・フランセス(フランス人の道)』を歩きました。その距離はおよそ800km。
この行程を21日かけて歩きました。
なんでそんな早いのって!?
捻挫したからです!!
本来であれば、30日歩きとおす予定だったのですが、序盤のピレネー山脈下山で足を捻挫し、足の具合を判断して途中バスを使ってショートカットしたので歩いた距離はおよそ560キロでした。今後、ショートカットした道を含めてもう一度歩きたいと思っています。
3.宿(アルベルゲ)について
この巡礼の道を歩く人のことを、ペレグリーノ(巡礼者)といい、ペレグリーノのための宿をアルベルゲといいます。
ウッディな宿もあれば、レンガ造りの宿など、種類は様々です。
当時大学生だった私は5~8ユーロくらいの宿に泊まっていました。
写真は通常の1段ベッドですが、2段ベッドの宿の方が多かったです。
たいていの場合、用意されているベッド&マットレスの上に、自分の寝袋やマットを敷いて寝ます。
暗くて見えづらいですが、こんな感じ↓
1度だけ、アルベルゲに泊まり損ねたことがあります。
それはログローニョという町を目的に歩いた日のこと。なんと町のワイン祭りの日と重なり、アルベルゲもすぐ満員に。散々探し回ったが末に、教会に泊まることになりました。
教会での寝床は、床の上に3センチ程度のマットを敷いただけの簡素なもの。しかし、初めてのミサ、初めて皆でつくる料理、初めて皆で食べる夕ご飯にささやかな幸せを感じました。
4.1日の過ごし方
1日のパターンは、
朝6時頃から出発⇒朝と昼ご飯は適当に⇒14時までに次の宿に到着⇒シャワー&洗濯⇒街歩き(スーパーに行ったりカフェにいったり)⇒夜ごはん⇒就寝
というのが基本でした。
朝ごはんや昼ごはんは、前日から用意しておいたパンやリンゴ、ハイカロリーなクッキーを食べることが多かったです。たまに、おいしそうなパニーニ屋を発見して寄り道するくらいかな。
14~15時には宿について、まずはシャワーと洗濯。さっぱりしたら、街歩き。宿でのんびり寝る人やおしゃべりする人、カフェにいくひとも多いです。
夜ごはんはペレグリーノ用のメニューが置いてあるお店で食べるか、宿のキッチンで自炊。最初のうちはお店で食べていましたが、旅慣れていくと自炊するようになりました。自然と増えていった顔見知りのペレグリーノ仲間と、一緒に料理したりお店にいったりすることも。
5.服装
わたしが行ったのは9月。日中はTシャツでいいですが、朝晩はやはりウィンドブレーカーが必要でした。
なお、洗濯物は乾いていなければバックパックに引っ掛けて乾かしながら歩きます。荷物については別で紹介します。
6.見どころ
カミノ・フランセス(フランス人の道)は、世界遺産がいっぱい!巡礼路自体が世界遺産でも珍しい「道の遺産」として登録されています。
中でも、レオンの大聖堂が美しかった…!!
毎日のように見る日の出や山の景色も、忘れられません。また、日本では体験できない国境越えもありました。
写真は、フランスとスペインの国境。
国境ってこんな扱いなのか!?とその簡素さに驚きました。
7.日本からの往路と復路
上述したように、今回の巡礼路の起点はフランス南西部の『サン・ジャン・ピエ・ド・ポー』(以下、サンジャン)。日本からはまずパリを目指し、パリのモンパルナス駅から電車に乗ってサンジャンに向かいました。
パリからサンジャンまではバイヨンヌでの電車の乗り継ぎもあって時間がかかるため、パリで1泊、翌日1日移動にあててサンジャンで1泊、という流れでした。
往路はマドリードから日本へ帰国。
当初はサンチャゴからマドリードまでバスか飛行機で移動し、帰国する予定でした。しかし、途中でバスを使ったわたしは予定より早くサンチャゴに到達。仲良くなった韓国の女の子に誘われ、サンチャゴからバルセロナ、そしてマドリードという流れで帰国することになりました。
8.ふり返って思うこと
800キロ歩き、1ヵ月も海外にいて思ったのは、そう何も変わることはないということ。自分自身も、回りの人も。
ただ、世界にはいろんな人がいるということを身をもって知ったし、捻挫しようが途中方法がわからなくて泣きそうになろうが、やり遂げることができたという自信をもつことができた。
歩くにつれ、荷物がどんどん軽くなるように、身も心も軽くなった気がした。
ふり返って思うのは、そう大したではないことばかりです。
今回、8年も前のことを書こうと思ったのは、いろんな国に旅行したなかでも、スペイン巡礼はやはり格別な思いがあると思ったからでした。
大したことないのに、格別なのはなぜだろう。当時の手帳を見返しながら、紐解いていきたいと思います。ちょこちょこ、スペイン巡礼談義を続けます。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。それではみなさん、ごきげんよう。